「秒速5センチメートル」が実写映画化される――2024年9月、このニュースが駆け巡った瞬間、多くのファンが戸惑いを隠せませんでした。
新海誠監督自身が「古く、拙い。しかし自分なりに愛おしい」と述べる静かで繊細な名作。
「とても未熟で未完成。しかし、その未完成さ故に、今でも長く愛し続けてもらえている作品」と述べられている通り、2007年の公開から約20年経った今も、観た人の心にそれぞれの想いを残し続けています。
だからこそ実写化には戸惑いの声も。「あの空気感は再現できるの?」「声ではなく“実在する俳優”で表現できるのか」。
そんな声と並んで、次第に「観てみたい」という肯定的な期待も高まり始めています。
その理由のひとつが、主演・松村北斗と、映像監督・奥山由之の組み合わせ。
本記事では、キャスト・スタッフ陣の魅力を丁寧にたどりながら、「原作を愛する人も、映画を愛する人も、なぜこの作品に目を向けるべきなのか」を綴っていきます。

松村北斗が演じる“貴樹”——抑えた感情を表現する繊細な演技力
SixTONESのメンバーであり、俳優としても目覚ましい活躍を続ける松村北斗さん。
2022年の映画『すずめの戸締まり』では声優初挑戦ながらも、感情のにじみを見事に表現。2023年の岩井俊二監督『キリエのうた』では目線や姿勢で”無言の存在感”を見事に表現しました。
さらに『1st Kiss』では、坂元裕二監督ならではの台詞を自身のものとし、映画をロングラン上映に導きました。
今回、松村さんが演じるのは「遠野貴樹」。幼少期に交わした約束を胸に”時”に立ち止まり”時”に流されながら生きる青年です。
「淡く、儚げな演技が出来る人。秒速の世界に合うと思う」
「気の遠くなるような繊細な演技が見事な松村北斗なら、期待できる」
そんな声がSNS上でも多く見られます。
原作者である新海誠監督は松村さんのことを「最も信頼する俳優である松村北斗くん」と断言。「北斗くんで見たいですね」との言葉が、新海監督本人もこの実写化を心待ちにしていることがうかがえます。
映像監督・奥山由之が描く、静けさの中の温度
「秒速5センチメートル」は、ストーリーもさることながらその“世界観”が記憶に残る作品。
実写でどのように表現するのか──この大きな挑戦を担うのが、映像作家・写真家の奥山由之監督です。
奥山監督は、「ポカリスウェット」のCM演出や映画「アット・ザ・ベンチ」の監督、米津玄師や星野源のミュージックビデオをディレクションしていることでも知られています。
その映像には常に“記憶の手触り”のような温度があります。
静けさの中にある光を、美しく切り取ってきた奥山監督だからこそ、実写化にあたって多くの映画ファンが期待を寄せています。
鈴木史子×江崎文武×玉井宏昌——心に触れる脚本・音楽・プロデュース
▷ 脚本:鈴木史子
坂元裕二監督がゼミを持つ東京藝術大学大学院。実はこのゼミ生だった、鈴木史子さん。
自身脚本に『雪子a.k.a.』共同脚本に『愛に乱暴』『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』などがあり、映画を大切にしている人から絶大な信頼を得ている、今注目の脚本家です。
▷ 音楽:江崎文武
WONKのメンバーであり、劇伴作家としても活動中。
King Gunの「白日」や「飛行艇」など数多くのレコーディングに携わっており、常田さんから絶大な信頼のある音楽プロデューサー。
“記憶の奥に残る音”をどう響かせるのか、注目です。
▷ プロデューサー:玉井宏昌
『知らないカノジョ』『スミオの話をしよう』など、幅広いジャンルをプロデュース。秒速という作品においても、「人間の弱さや未練」を誠実に描くことに期待が高まります。
幼少期を演じる子役たち——一瞬を残す、確かな存在感
秒速5センチメートルの実写化において重要な役割を担うのが、貴樹と明里の幼少期。
子役には、上田悠斗さんと白山乃愛さんが約500人の中からオーディションで選ばれました。
- 上田悠斗:本作が演技初挑戦。大役でデビューを果たす。
- 白山乃愛:東宝シンデレラオーディションで史上最年少グランプリを受賞。『Dr.チョコレート』『スカイキャッスル』などドラマ・映画・CMに立て続けに出演。演技に定評がある。
俳優の自然な演技を引き出すことを大切にしている奥山監督。2人の子役とも、丁寧にワークショップを行っているようです。
子どもだからこそ持てる“まっすぐさ”と、“伝えられない想い”。彼らの演技が、実写版の中でどれだけ多くの人の記憶に残るか——ファンにとっても注目のひとつです。
ファンの声——それぞれの“推し”を信じて観てみたい
実写化に賛否があるのは当然のこと。
でも、SNSではこんな声も増えています。
「キリエもファーストキスも良かったから松村北斗の秒速は、観たい」
「鈴木史子脚本に奥山由之の映像美が混ざれば、凄いものが観られるかも」
「原作は原作。映像は映像で、それぞれ楽しみたい」
それぞれのファンが、自分の“推し”の魅力を信じて、この作品に期待しています。
まとめ:あなたの中の桜へ
秒速5センチメートルは、あなたの“記憶”そのもの。あなたの中の桜も色は、思い出せますか。
実写化に不安を抱く方も、キャスト・スタッフそれぞれの作品に触れてみれば、新しい気持ちが見えてくるかもしれません。
劇場で。もう一度あの桜を見てみませんか。

🌸 関連リンク
- [映画公式サイト]
- [奥山由之 公式HP]
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